ゲーム録

テレビゲームについて語る

 東北大学未来科学研究共同研究センター川島隆太教授監修 もっと脳を鍛える大人のDSトレーニング

知育・教育
任天堂 2005年12月29日発売 ニンテンドーDS

NINTENDOSOFT

非ゲーム系

タッチジェネレーションズというゲームの裾野を広げたいという任天堂の戦略ソフトであった2005年4月発売の「nintendogs」、5月発売の「脳を鍛える大人のDSトレーニング」は思惑通りに幅広い層に受け入れられ、大ヒットとなり、それが結果的にニンテンドーDSを成功させることになった。
本作はその「脳トレ」の2作目。



タッチペンで数字や文字をダイレクトに入力できるのが今までの知育ソフトと大きく異なるところ。
十字キーでは漢字を書くのに時間がかかるし、かといって選択式では直感的な発想が奪われてしまう。
文字入力はニンテンドーDSの操作性と見事にマッチしている。



脳を鍛える

レーニングは全て新作で全14種類。
毎日続けることを前提としていて、問題数は2〜4ヶ月程度用意されている。
得点などのデータを4人まで保存しておける。


漢字の書き取りや、ばらばらになった部首から漢字をつくる「漢字合成」、漢字とひらがな交じりの文章をそのまま覚える「音読差分」など主に漢字に関係するトレーニングがまず1つ。
これは海外では無理だよなと思う。
漢字も簡単なものばかりではないので、ある程度の年齢以上の人を想定しているといってもいい。


そして、2つの数字と解を見て+−×÷の記号を穴埋めする「算術記号」、計算式の一部が消えていく「記憶加算」、釣銭渡しなど計算に関するトレーニング。
降ってくるブロックを各列何段まで積み上がっているか、指定した列を答える「高さ数え」や、出入りする人の人数を数えたり、ややこしくて頭が混乱してくるトレーニングがある。


おまけの要素として「細菌撲滅」がある。タッチペンで操作する「ドクターマリオ」といったところ。カプセルが落ちてくるスピードはすごく遅い。


脳年齢チェックはトレーニングとは違う種類の問題も用意されている。
画面に表示されたグー、チョキ、パーを見て音声で自分が負けるように叫ぶ「後出しじゃんけん」や、画面に表示された36個の漢字を覚えたり、画面内の一番数の大きな数字をタッチする時間を計測したりして脳年齢をはかる。



1本のソフトで16人まで対戦

たまに川島教授からお題が出題される「気まぐれイベント」が発生する。
下の句を書いて完成させる「ここで一句」や、お題に沿って親父ギャグをつくったり、画面の点を自由に繋いで絵を完成させたりする。
データは4人それぞれ保存してあるので「発表会」が行われる。
その場で他の人のも見ることができるのだ。


お手軽版を他の本体にダウンロードしていくつかの体験版を遊ぶことができる。
また、本体を持ち寄れば1本のソフトで16人まで対戦できる。「対戦お絵かき」はお題に沿った絵を描いて自分以外の作品に投票する。
ほかには漢字合成や釣銭渡しなどを一斉にやって得点で争う。



全体的な感想

ソフトのタイトルにもあるように毎日トレーニングして脳を鍛えることが目的なので、1日に1種類のトレーニングをまんべんなく行うように催促される。
同じ日に同じトレーニングをもう一度やると同じ問題が出題されたりするので一気に遊びたい人には向いてない。
なので、トレーニングを続けた日数によって新しいトレーニングが解除されていく。
さすがに不満が多かったのか、同じくカレンダーにハンコを押す「Wii Fit」では日数が経たなくてもトレーニングをやっていくだけで、その日のうちに新しいトレーニングが解除されるようになった。


計算はスピードが問われるが、間違えるまで計算し続けられるサドンデスとか、時間は関係なく毎日50題の計算をすることでトレーニングとしたいとか、もう少し柔軟性があるとよかった。
けれども、このソフトとニンテンドーDSの機能とは抜群に相性がいいので、多種多様のコンテンツを作る基盤となったと思う。
このソフトが発売されたころは雑学ブームで、その波にうまく乗れたという見方もできるが、ニンテンドー3DSでは同様のヒットとなるだろうか。


川島教授といえば東北大学ですが、このたびの震災により被災された皆様にはお見舞い申し上げます。
早い復興をお祈りいたします。
様々な技術や研究、経験が活かされることを願ってやみません。



ジャケット
脳を鍛える大人のDSトレーニング