ゲーム録

テレビゲームについて語る

 小さな王様と約束の国 ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル

国造りRPG
スクウェア・エニックス 2008年3月25日 Wiiウェア

SQUENISOFT WiiWare-Review WiiReview

ダウンロード販売のみのWiiウェアが3月25日より開始となった。
開発者にとっても負担が少なく、高度になっていくハードには見合わなくなっていったシンプルなゲームを提供するというのがコンセプトで、ユーザーにとっても安く手に入り、発売から数年すぎても安定して手に入るというのが魅力だろうか。
本作はグラフィックもきちんと描き込まれてるという印象だが、1500Wiiポイントとお手頃価格。
果たしてその中身とは?



国造りRPG

RPGというよりは箱庭タイプのシミュレーションゲームに近い。
プレイヤーは一国の王様となって、城壁のみが残るだけの王国を造り上げていく。
王様は建築術(アーキテクト)を使って建物の建設を行う能力がある。
建物に伴って現れるのは、かつての国民たちだ。
王様が建設できるのは、思い出に残っている物のみ。
記憶があいまいなときは、絵の上手なモーグリに絵を描いてもらって形にしていくといったイベントもある。



ダンジョンをクリアすると、武器屋や訓練場、大きな民家など、新たに建設できる建物が増える。
建物はそれぞれ建てられる軒数や1軒の大きさが決まっている。
建てられるスペースは地面の薄い緑色の部分のみだ。
結構空きのスペースは多いのだが、あとのことを考えて無駄なく建てていく必要がある。
そのようにして王国を復興させていき、この国が消滅した理由などを解明させながらラストボスへと向かっていく。



おふれを出す

民家1軒には何人かの家族が住んでいるが必ず冒険者1人が住んでいて、王様は民家に住まう人々から税金をもらって国を興している。
そういった民家や研究施設を建築するには精霊石の力が必要となるのだが、王様は城から出て探索にはいけない。


そこで代わりに探索に出かけるのが冒険者
冒険者を雇うにはお金が必要なので、税収でやりくりしていくことになる。
雇った冒険者にはおふれを出してダンジョンを探索させることができる。
おふれを出すにはお金が必要だ。
ダンジョンで入手した精霊石は王様のものとなる。



翌朝、王様は冒険者たちの報告を受ける。
冒険者がどんな魔物とどんな戦いを繰り広げたかを確認できるのだ。
税収と精霊石の獲得数等を確認。
そしておふれを出す。
冒険者たちが探索してボスの居所を見つけていれば、ボス討伐のおふれをだせる。
また、ダンジョンの探索度が上がれば、別の場所のダンジョンも見つけてくることがあるので、そちらを探索させることもできる。
立て札の公園を設置していたら、おふれをもうひとつ同時に出せるので便利だ。



冒険者への報酬

ダンジョンで入手したお金やアイテムは冒険者のものとなり、新たな冒険の糧となる。
冒険者は一日の終わりに日当が支払われ、城下町で武器や防具を自分の意志で買う。
王様ができることは、集まった冒険者におふれを受けさせるかどうかを判断するだけで、あとは冒険者が自動で冒険するようになっている。
ダンジョンに到着したとか、ボスと戦い始めた、全滅したなど、リアルタイムで画面右上に表示され、だいたいの様子がわかる。


ダンジョンのボスを倒した者には特別に王様からメダルを授与される。
メダルは力や耐久力などのステータスを上げるためのもので、ゲームキューブの第一作でいうと「アーティファクト」に相当するだろう。
レベルの高いダンジョンをクリアすれば、より多くステータス値を上げられる。
一作目と違って、クリア後も同じダンジョンでレベル上げができるが、ボスを倒せるのは一度きりになっている。



王様が冒険者にできること

冒険者を雇うと、冒険者はみな戦士となるが、シーフのアビリティが学べる遊技場を建設すると、冒険者にシーフにジョブチェンジするおふれを出すことができるようになり、王様はおふれに集まった冒険者から選んでジョブチェンジさせることが可能だ。
ジョブは4種で、そのほかには白魔道士と黒魔道士があり、魔法でしか倒せない敵がいたり、ダンジョンの仕組みを解き明かすのに便利なシーフが必要となったりするので、バランスよくジョブチェンジさせる必要がある。


冒険者は初め5人までしか雇えない。
ギルドを建設すると、お金を出せば雇える数が増す。
また、冒険者の日給を上げることもでき、冒険者のやる気をアップさせる。
おふれを見に来たとき、吹き出しに青ざめた顔のアイコンが出ていれば、ぐったりとしている。
そんなときには話しかけて休んでもらおう。
なお、前日の冒険でHPがゼロとなってしまった場合は1日休みとなる。
家に訪問すれば冒険者もすぐに元気になるようだ。


酒場を建設すれば、冒険者たちが4人までのパーティを組むようになる。
冒険者たちは買い物をすませたあと、いったん酒場に集まり、パーティを自動で組むが、酒場の軒数だけこちらが指定したパーティを作ることも可能だ。
ダンジョンレベルが高いとひとりで探索するのは厳しくなってくる。
行く場所の違いや、酒場にやってくる時間などが違うとひとりで出かけてしまうこともあるので、確実にパーティを組むように指定しておいたほうがよいといえる。
パーティを作っておくと、おふれにはパーティのリーダーのみがやってくる。
もしボスを倒したときにはリーダーのみがメダルをもらえるので、パーティをそのたびに作り直した方がよいだろう。



店を充実させる

武器や防具、道具、魔法やアビリティにはレベルがある。
王様はそれらの店に入ってレベルを上げるための開発費用を投じることが可能だ。
次の日には投じた分だけのレベルが上がっている。
冒険者は自分のレベル相応の品物を購入するが、お金がないときはそれよりレベルの低い物を買ったり、買い控えたりする。
武器屋や魔法学校が同時に建設してあると、優先的に購入するものがあるらしく、なかなか防具を買わないなんてこともある。



一定のレベルまでくると、開発に必要な素材を頼まれることがある。
これらを入手するのはやはりおふれだ。
○○の素材があるらしいというダンジョンがあるが、そのダンジョンに該当のおふれが出ないときは、そのダンジョンを探索させて、探索度を100%にすると素材探しのおふれが出せるようだ。



幸せの玉

王様は頭の上に吹き出しが出ている国民に話しかけることができる。
話しかけられると国民は幸せな気持ちになり、幸せメーターがたまっていく。
また、国民がパン屋や商館で買い物をしたときもメーターがたまる。


そして満タンとなると幸せの玉となり、大臣のチャイムを呼び出して幸せを振りまくことに使える。
一定時間の間、国民に話しかけると、今度はその国民の家族の幸せメーターがたまっていき、満タンになるとその家族は夜遅くまで語らうようになるので、家に明かりがともる。
そういう家庭が増えれば王様の一日は延びることになり、夜遅くまで待ちで人々に話しかけたり、建物を建設できたりする。



もっとも重要なのは、幸せメーターが満タンになった家庭を訪れると、一日1つだけ特殊メダルがもらえる。
そのメダルの種類は近隣の建物に影響され、公園の近所なら公園がよいのメダルがもらえ、ボスクリア時に冒険者に与えることができるのだ。



2週目

一度クリアすると内容を引き継いで2週目がプレイできる。
ノーマル、ハード、ベリーハードが選択でき、ハード以上ではダンジョンの数が大幅に増え、ボスの数も増えるのでより多くのメダルが上げられるし、建築物も多くなるので、ここからが本番だろう。
ダンジョンのレベル自体もノーマルより上がっている。


引き継ぎ要素は冒険者に与えたメダル。
どんなメダルをあげたのか詳細にかかれていないのが残念なのだが、レベルが高くなったダンジョンにも対応できるように、初めの4人にはまんべんなくステータスを上げておいたほうがよい。


購入した武器や道具もそのまま受け継ぐが、レベルが低いうちは装備できない。
はじめのうちはまた武器屋で低いレベルの物を買っている。
冒険者がそれ相応のレベルに達したら装備できるようになるようだ。
ジョブはクリアされるので、購入したアビリティはなくなっている。



FFCC

さて、私はゲームキューブの第一作しかシリーズをプレイしていないが、今回のゲームはかなりおもむきが異なる。
舞台は瘴気が晴れた直後の世界。
少年の父でもある国王は国民を見捨てたともいわれている。
小さな国王は長い旅の末、なにもないこの地にやってきた。
ここは父が消息を絶った地でもあるらしい。
城下町の中央にそびえるクリスタルから建築術を授かり、かつての国を再建するというストーリーだ。


国民と王の種族はクラヴァット。
性質としてはオールグラウンドなキャラクターといえる。
魔石を持つと魔法が使えるというのがゲームキューブFFCCであったが、この国の者たちはジョブチェンジで魔法が使える。
そして、大臣の女性は俊敏性のあるセルキー。
国王が失踪した旅に同行していたというヒュー=ユルグは攻撃力の高いリルティである。


宿屋を建設するとほかの種族の冒険者が城下町に訪れる。
魔法能力の高いユークという種族もやってきて、この国の冒険者が魔法を使えることに驚いていることが聞ける。
ただし、冒険に参加するのはクラヴァットのみだ。
ほかの種族もパーティにくわえたいときは、追加コンテンツを買わなくてはならない。


さすらいのモーグリ、スティルツキンもこの国を訪れる。
国王との交流もあったそうだ。

 小さな王様と約束の国 ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル レビュー

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感想

プレイヤーである小さな王様は城下町から出ることができないのでダンジョンへは入れない。
行動範囲が狭く、それほど多くのグラフィックを要していないし、キャラクターの動きもいくつかのパターンしかないので、低価格が実現したのだろう。
ムービーもあるが、それほどストーリー性のあるゲームでもないので、なかったとしても別段不満ではなかった。


プレイしてみたかんじとしては、どこに何を建てるかというのに悩まされるゲームだ。
一日の時間が決められているので、考えているうちにすぐに一日が終わってしまう。
とにかく、ゲームは一日単位で動いている。
建物を撤去するのも、指示しても実際に撤去されるのは翌朝の朝。
武器や魔法に投資しても、レベルが上がるのは翌朝。
酒場でパーティを組み直しても、それが有効となるのは翌朝。
なので、次の日のことを見越してある程度行動をとっておく必要がある。


だけど、一番困るのは武器屋と防具屋の特売日。
武器の付加価値は高いんだけど、武器レベルは通常時のままで、値段も通常の倍くらいはする。
その武器を買ったあとで武器レベルを上げてしまうと、次の日にまたレベルの高い武器を買ってしまうこともあって、冒険者の資金が尽きてしまうこともある。
買わせないという行動は指示できないので、奥の手として、おふれの前に集まった冒険者たちを放っておくという手がある。
話しかけないでいると、時間がきたら冒険者たちは自動的に冒険へ出かける。
そのときは店に立ち寄らず、そのままダンジョンへと向かうのだ。
ただ、パーティを組んでいるとリーダー以外は店をかけめぐるので、この手は使えなくなる。
そんなときは武器レベルをできるだけ高くしておき、特売日の武器は高すぎて買えないようにしておくしかない。
もしくは、事前に特売日をリサーチしておいて、前日に撤去してしまうかだ。


冒険者たちは気分をリフレッシュする公園や、武器屋や白魔法学校等、自分に必要な施設をまわってから冒険に出かけるので、それらの施設をばらばらの場所に建ててしまうとそれだけで時間がかかってしまう。
城からダンジョンへの道のりもあり、冒険者たちは日が暮れると探索をやめて帰ってきてしまうので、なかなか先へと進めなくなる。
中盤からは建物を撤去できるようになるので、一カ所に集めた方が効率よく冒険できる。
ただ、建設スペースにも限りがあるので、冒険者たちの住まいや、おふれを出す立て札、冒険者たちの立ち寄り施設をどう配置するかがプレイヤーの仕事となる。


建物を撤去して必要なときのみ建設するというのも手だ。
時間の節約にもなるし、冒険者の資金を節約しておくのにもいい。
冒険者に買ってほしい物が売っている施設を残しておくというのもいいだろう。
とにかく、冒険者はこちらが思う優先順位で武器やアビリティを買ってくれないから。


町で聞いた話によれば、その建物の並びで売ってる物が変わったりするというのだが、本当だろうか。
やってみるが、何が変わるのかはよくわからない。
ただ、建設場所にかかわらず、相互に関係する建物は実際にはあり、たとえば武器屋も2軒目からは別の種類の武器を売るし、商館を建ててもまた武器屋に新しい武器が増える。
武器の種類が増えれば、訓練所でその武器に対応したアビリティが増える。


そのほかにも、魔法学校の近くに民家を建てると、そこに住む冒険者の知力や精神が通常よりもアップするというが、その恩恵はあまりよくわからない程度だ。
建物の並びにもっとおもしろい仕掛けが隠されていたらもっとおもしろいと思うが、まだ気づけていないだけだろうか。
ともかく、思っていた以上にハマってしまったゲームだった。
追加コンテンツがなくても充分に遊べる。
できれば、他の種族も標準でつけてほしかった。
でもまぁ、それで儲けなくてはいけないから仕方ないか。


ふつうのRPGだったら、追加のダンジョンでも魅力となるかもしれない。
メインのゲームをディスクで売り、追加をWiiウェアでというのもありだな。
リンクのボウガントレーニング」も「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」の背景を流用しているので、そういうのも、メインをディスクで買い、追加コンテンツでステージを流用したまったくジャンル違いのミニゲームが遊べるというのもおもしろいかもしれない。
だって、ゼルダにもミニゲームはいくつかあったけど、それを必要としていない人はいるかもしれないから、追加コンテンツで別売りになればこちらは節約になる。
いや、それとも、パックで売るよりもっと複雑な技術を要することになるのかな・・・