ゲーム録

テレビゲームについて語る

 ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者

推理アドベンチャーゲーム
任天堂 前編1988年4月27日・後編6月14日発売 ディスクシステム
任天堂 2007年10月16日バーチャルコンソールダウンロード開始
NINTENDOSOFT VIRTUAL-CONSOLE

どんなゲーム?

主人公は崖から転落して記憶をなくした少年だ。探偵事務所で働いていたらしく、自分は現在綾城家の執事から依頼を受けていた。当主キクの死について不審な点があるという。
主人公はその綾城家で次々と起こる殺人事件を解明すると同時に、自分が崖から転落したのはなぜなのか、綾城家の事件となにか関わり合いがあるのかを探っていくのがゲームの目的だ。
ディスクシステムの特徴でもあるセーブ機能が生きたゲームで、こつこつと謎を解いていくことができる。


レビューを書くにあたり、もう一度やり直してみて案外ミステリとしても良くできているのに驚いた。
厳密なことをつついていえば、たとえばキクの死因はともかくとして、首をくくって自殺したとされる男(ネタバレのためあえて名前は伏せておきましょう)の正確な死因を警察は見抜けなかったのかとかあるけれども、様々な謎が絡み合っておもしろい。
横溝正史風の世界観で、まだ土葬の風習が残るへんぴな小さな村で起こった事件なので、村人たちは「キクさんがよみがえった。たたりじゃ〜」などと怯えたりしている。
エンディングは夕暮れ時の崖の上。ある人物との再会で哀愁漂う、心憎い終わり方でした。



コマンド体系

古い時代のゲームなので、アドベンチャーといえばコマンドのしらみつぶし。行き詰まったらとりあえずもう一度同じことを聞いてみたり、調べてみたりすると突破することが多いので、コツがつかめてくると進みも早くなる。
割合と親切設計で「ばしょいどう」のコマンドで行ける場所が、崖、明神駅、かぐら寺、熊田医院、綾城家、神田弁護士事務所など多数あるが、その時々によって行ける場所が限定されているので手がかりの得られない場所で意味なく聞き込みをしなくてもすむわけだ。
場合によっては重要な証言を得るまで「ばしょいどう」のコマンドが外されて、場所移動をできなくしていたり、なるべく行き詰まりがないような配慮がある。アドベンチャー初心者にも向いているが、死体を調べたりするのが子供向けとはいえず、ちょっと任天堂らしからぬ演出なのだが、まぁ、殺人事件ものなのだからしょうがない。


そしてもうひとつの親切設計。ゲームが進むと拠点となっている宇津木探偵事務所に戻ってゲームの中の一日を終えるのだが、そのときに「すいりする」というコマンドで今での調査を整理するので、事件のあらましがわかってくる。
「おもいだす」というコマンドは主人公が記憶喪失のためにあるのだが、そのほかにも何かしておかなければならなかったことを思い出すときにも使えるのがおもしろい。


コマンドしらみつぶし以外の要素としては、最後に綾城家のしるしを土蔵で探し出さなきゃならないのだけど、これが3D迷路でマッピングしないと迷ってしまう。そして順序よく回らないと「しるし」は手に入らない。
最後に、このことはすっかり忘れていたのだが、プレイヤーが本当に事件を理解しているのか、キーワードを文字入力する場面が3度あった。これは「かまいたちの夜」で犯人を指摘するような要領だ。むろん、難易度は低いのだが、やりますな、任天堂