ゲーム録

テレビゲームについて語る

 探偵神宮寺三郎 新宿中央公園殺人事件


推理アドベンチャー
データイースト 1987年4月24日発売 ディスクシステム
データイースト 2008年2月19日バーチャルコンソールダウンロード開始
SONOTASOFT VIRTUAL-CONSOLE

硬派ハードボイルド

ギャグやジョークなんて一切なし。顔なじみの刑事にアリバイを尋ねただけでゲームオーバーとなってしまう、とってもシビアなゲームだ。絵柄も外国ゲームみたいで、音楽もジャズ調だったり、神宮寺三郎という主人公の性質を表しているかのようだ。
とはいっても神宮寺がしゃべってくれることはあまりなくて、まぁ、神宮寺=プレイヤーという関係上の制約もあるだろうが、名前をこだわって付けるほどなのだから、もう少し神宮寺のキャラクターを押し出してもいいのではないかと思う。
神宮寺はヘビースモーカーらしく、タバコを吸うというコマンドがある。タバコを燻らせると頭が冴えてくるというのだが、残念ながらこのコマンドが活躍する機会はきわめて少ない。


コマンドには色んなことをつめこんでいるのだけど、それが生かし切れてないようだ。そうそう「とる」というコマンドもそう。「とる」といったら普通は見つけたものを取ると思うでしょ。でもここでは写真を撮るということで使われるけど、写真を見せて重要証言を得られるのは1回ぽっきり。せっかくなのに、もったいない。
このゲームはディスク1枚組だから内容的に詰め込むのは無理があったのかもしれない。「ファミ探」よりも1年前に発売されているから、2枚組にしようということには考えが及ばなかったのだろう。それにしても難しい。推理がどうのというより、ゲームを進めること自体が難しいのだ。


時間経過

時間経過とはいってもコマンド選択で時間が経つというのではなくて、自分で捜査を終わらせるを選ぶと1日が経過する。30日が経過したらゲームオーバーだ。それまでに犯人を見つけ出さなくちゃならない。
時間経過の概念はおもしろいと思う。すぐに思い当たるのは「ドラクエ」で、外を歩いているうちに夜になり、昼と夜とでは町の人の様子が違うということがあるが、この日付の進み具合でいつものところに違う人がいるということに気がつけばゲームが進行していく。


ネタをばらしてしまうと、派出所にいる警官のことで、事件当日に警邏にあたっていた警官が非番の日だと会うことが出来ないのだ。それはいいけど、なじみの刑事と一緒じゃないと話が進まないのには参っちゃうよ。ハードボイルド探偵はやっぱ一匹狼でしょ。



こんなところからスタート?

スタートするといきなり新宿公園の入り口に突っ立っている。しかも、アドベンチャー特有の画面ではなく、RPGのようなマップにぽつんとたたずんでいる。一般の人がうろうろとしているがなぜこれを取り入れたのか不明。っていうか、あまりにも意味がなくて。
公園を探索していると凶器に使われたと思われるような紐が落ちていたり、公園のすみに誰のものかわからないライターが落ちていたりするが、これは取らなくてもクリアするのに問題はない。
最もわからないのが派出所の位置。公園にいた人から北西にあるというので行ってみるとそれらしい建物がある。でもそこには入れず、公園の端の通路で「まわりをみる」と派出所へ入れるというなんだかよくわからない展開。



素っ気ない人々

コマンドはやたらと多い。話を聞くにしても登場人物全員の名前が出てくるが、ほとんど「さぁ……」とかなんだとかあまり多くを話してくれない。つっけんどんな返事だったり、重要な証言を聞いたあとでそのことについてあやしい人物に尋ねたくても、思うように神宮寺が質問してくれない。


だいたい、遺体を発見した人と話せるのはゲームが3分の1も過ぎた頃って遅い! 遺体は芝生がはがされているところに放置されていたと刑事にはじめに聞かされ、どんな意味があるのかと思いきや、芝生の張り替えの途中だったという。そんなのもっと早くに教えてくれよ。
なんだか話の展開が遠回りで要領を得ないというか、「こくはつする」にしてもタイミングが曖昧だったりする。たいした証拠を握っているわけでもないのにこんなんで犯人が落ちるのかなと思ったり。


そもそも神宮寺は警察の密偵なのか? 話を持ちかけてきたのは顔なじみの刑事だし。いやいや違うだろう。神宮寺はこそこそと嗅ぎ回っているわけでもなく、刑事と共に行動を取ったりしているのだから。それに事件の内容もたいしたことじゃないし。
金田一耕助みたいに警察にも一目置かれる探偵で、ちょっと協力お願いしますよ、みたいなかんじなのか。
しかしまぁ、神宮寺は10作続いているのでその魅力は続編で味わえるのかもしれない。ってことで、第一作目はやりにくかったゲームという評価だが、次作に期待。



シリーズ作品

横浜港連続殺人事件 1988/2/26 FC
危険な二人 1988/12/9 disk
時の過ぎゆくままに 1991/9/28 FC
未完のルポ 1996/11/29 PS,SS
夢の終わりに 1998/4/23 PS,SS
灯火が消えぬ間に 1999/11/25 PS
Innocent Black 2002/10/24 PS2
KIND OF BLUE 2004/4/22 PS2
白い影の少女 2005/1/27 GBA

移植コレクションで遊ぼう

ディスクシステムファミコンで発売された4作品を移植したコレクション。コレクション版のオリジナル映像デモがかっこいい。80年代風アメリカハードボイルドドラマのオープニングみたいだ。移植作品ではあるが、ミニゲームやヒント集、捜査ノートなど付加要素も本編ゲームとは別に用意されている。



『探偵神宮寺三郎 Early Collection』
 PS,SS 1999.08.05
新宿中央公園殺人事件」「横浜港連続殺人事件」「危険な二人 前編・後編 」「時の過ぎゆくままに・・・」を収録


cover
『探偵 神宮寺三郎DS いにしえの記憶』
 DS 2007.07.19
新作+携帯アプリ版「新宿中央公園殺人事件」「横浜港連続殺人事件」「危険な二人 前編・後編 」「時の過ぎゆくままに・・・」、携帯アプリオリジナル「アカイメノトラ」、コミカルなミニゲーム民俗学者殺人事件」「天使切断事件」「調査写真バラバラ事件」「しぐれ荘密室殺人事件」「クリスマス殺人事件」「三郎と不思議なホテル」の12作を収録