ゲーム録

テレビゲームについて語る

 ウィッシュルーム 天使の記憶 (WISH ROOM)

アドベンチャー
任天堂 2007年1月25日発売 ニンテンドーDS

NINTENDOSOFT

どんなストーリー?

3年前、美術品窃盗団ナイルの潜入捜査をしていた元同僚のブラッドリーは警察組織を裏切り、カイル・ハイドは彼に向けて銃を発砲し、ブラッドリーは行方がわからなくなった。
カイルは刑事をやめ、ブラッドリーを密かに探しながらセールスマンの仕事をしていた。しかし、レッドクラウン商会の裏側の顔は、いわくつきの品物を探す仕事を請け負っている。
カイルは品物回収のためにホテル・ダスクへとやってきた。オーナーはカイルと同じ名前の男が半年前に宿泊したという。その男はもしかしたら、ブラッドリーかもしれない。カイルはブラッドリーの足跡を探ろうとした……


タイトルにもある「ウィッシュルーム」とは、カイルが宿泊する215号室に付けられた名前である。このホテルにはそれぞれLoveやAngelといった名前が付けられているのだ。
特にこの215号室はそこに泊まると願いが叶うといわれており、後からやってきた婆さんもその部屋に泊まりたがっていた。
正直いって、それは本編とはあまり関わりはなく、ゲームの目的はホテルに泊まった人々の心を開かせて話を聞き出すことにある。



基本操作

基本的には他のアドベンチャーゲームと同じように進めていけばいい。人から話を聞き、部屋を調べ、アイテムを入手して事実を解き明かしていく。

ニンテンドーDS本体を横持ちにして、右利きの人は右側にタッチパネルが来るように持つ。見取り図のようなマップの上をタッチペンを使って主人公を移動させる。画面の下にある虫眼鏡のアイコンが点滅したらその場所を詳しく調べられる。
そのときアイテムを使いたければアイテムを選択した後、使いたい場所をタッチすればよい。


手帳には登場人物のプロフィールが書き込まれていき、解決していない疑問点もここに記されているが、あまり使う機会がなかったし、気づかない人も多いかもしれない。
手書きのメモを取ることも出来る。
このメモ帳はミラとの筆談でも使われ、リンゴの絵画の謎を解く時も自動でイラストが描き込まれる。おもしろい使い方だ。



突っ込みマーク

特徴的なのは突っ込みマークと、疑問符が会話の途中で現れること。
主人公のカイルが他の登場人物と会話をしていると、逆三角形のマークが現れる。これをペンでタッチすれば、その話しについてさらに言及することが出来る。
それはすべて二者択一で、相手を怒らせる内容だと話を聞きそびれたり、ゲームオーバーになってしまう。必ずしも突っ込む必要はないが、特に序盤はたいていの話を聞いておかないと先には進めない。

疑問符が出てきた時は、話しに区切りがついた時にまとめてカイルが疑問に思ったこと、もっと話を聞きたいことを聞くことが出来る。
黄色いマークの時はその人本人から聞き出す内容で、白いマークの時は必ずしもその人から聞き出すことはなく、話の途中で抜けて別の人と接触して話を聞くことも可能だ。
ただ、その機会は非常に少なく、結局よくあるアドベンチャーのように、話を聞くと聞き出す項目が増えていくというタイプのゲームになってしまっている。



感想(ネタバレあり)

客室が10室程度の小さなホテル内で物語が完結するので、たらい回しにされている感は否めない。
ゲームの当初の目的はオーダーシートに書いてある依頼者から探してくれといわれた品物を探すことにある。それはゲームの序盤で入手できてしまうので、次は何をしたらいいのだろうと目的を見失ってどうしたら次へ進むのかわからなくなることがある。
そういうときは自室に戻るとか、別の場所に移動すると誰かが接触してくるので話が進む。


主人公はブラッドリーを探しているわけだが、このホテルに泊まったことがあるらしいということ、そしてブラッドリーが潜入捜査したナイルに関係ある人がホテルにいたり、遠巻きながら過去に起こった事件を探っていくことになる。
ホテル内でリアルタイムに起こっている事件ではないので、話を聞き出すのが重要になってくるわけだ。
なかにはブラッドリーとは全然関係のないことにまで首を突っ込んでいくので、話の構成をもう少し考えて欲しかったところ。個々の内容は大人でも楽しめるようなものなのでよかったけれども。


どうやら周回要素があるらしく、一度クリアしてエンディングを迎えるとセーブデータに星マークが付く。このあたりは「アナザーコード」と同じだ。
1週目と2週目の違いには気づかなかったけど、2週目で自動販売機で物を買い、オリジナル商品を手に入れ、ルイスのマッチパズルも3種類やり、謎のテープも入手し、入れなかったLoveの部屋で思い出の箱を見つけたラストを迎えた。行方不明だった少女が戻ってくるエンディングだったが、3週目は電話番のレイチェルとカイルがなんだか親密な感じになっていた。


もっとほかにも変わったところがあるんだろうか。214号室には入れなかったのが気にかかる。まだ謎の暗号が隠されているのだろうか。ローザの部屋にあったクロスワードパズルが出来るようになってるとか……しかし、そこまでたどり着くのに結構時間かかるので、ギブアップしました。


ともかく、話が一本道で、自由度はあまりないゲームといっていい。「アナザーコード」は洋館の仕掛けを解くおもしろさがあったけど、このゲームは現実的なホテルの中なので、ミニゲームのような謎解きの部分、例えばパズルをするとか、ボーリングをするとか、とってつけたようになってしまっているのが残念だった。



         
『アナザーコード 2つの記憶』   『ウィッシュルーム 天使の記憶』