ゲーム録

テレビゲームについて語る

 ファイナルファンタジークリスタルクロニクル (FAINAL FANTASY CRYSTAL CHRONICLES)


アクションRPG・4P同時プレイ
スクウェア・エニックス 2003年8月8日発売 ゲームキューブ
SQUENISOFT

新機軸

ファイナルファンタジーVIIからプラットフォームをプレイステーションに移して以来、正式なナンバリングタイトルはソニーハードから出るようになったが、ファイナルファンタジーの新機軸として任天堂ハードにクリスタルクロニクルシリーズが登場した。
2008年3月にはWiiウェアで新作「小さな王様と約束の国 ファイナルファンタジークリスタルクロニクル」が発売予定だ。どうやら本作とゲームシステムはまったく異なるようだ。


本作はアクション要素の強いロールプレイングではあるが、敵を倒すことによる経験値の獲得はない。
なので、レベルという概念はなく、ゼルダの伝説に近い。
攻撃方法は独特で、慣れるまでは苦労するだろう。
ゲームボーイアドバンスゲームキューブをケーブルをつないげば最大4人で同時プレイできる。
シングルプレイではたった一人での旅立ちとなるので、マルチプレイで遊んだ方がより楽しめるつくりになっている。
また、別のメモリーカードに記録されたデータから、キャラクターを呼び寄せて一緒にプレイすることも可能だ。
ただ、マルチプレイの場合、人数分のGBAとケーブルが必要となる。



世界を守るクリスタル

その昔、大きなクリスタルで世界は守られていたが、クリスタルが破壊されてしまい、今はそれぞれの集落にあるクリスタルのかけらで、どうにか生命力を妨げる瘴気を蹴散らしている。
クリスタルの威力は永遠ではなく、年に一度ミルラの木から採取されるしずくで清めなければならなかった。


ミルラの木はモンスターの巣くう洞窟の奥底にあり、しずくを取りに行くのも並大抵ではない。
村の若者たちはクリスタルキャラバンを結成し、世界にあるミルラの木からしずくを採取しに行くのだった。
ひとたび村を出ればそこは瘴気に包まれている。しずくを入れる器をクリスタルゲージと呼び、それを常に持ち歩いて瘴気を払いながら進んでいく。



ダンジョンの仕組み

クリスタルゲージの有効範囲は広くはないので、ダンジョンを進むときも誰かが持ち歩いていなくてはならない。
1人で遊ぶときはモーグリのモグがゲージを持ってついてきてくれる。
ランプで道を照らすようなイメージで、有効範囲の外では徐々にHPが減ってしまい、範囲内にいればHPが少しずつ回復していく。


ダンジョンにはホットスポットというクリスタルゲージの属性を変えられる場所がある。
火、水、風、土の属性があり、火の属性の時は火気に強くなるなどの恩恵がある。
また、クリスタルゲージの属性によって進める場所もある。


しずくはダンジョンの奥にいるボスを倒すと得ることができ、クリスタルゲージは3回分で満タンとなり、そうなると1年が終了し、村のクリスタルに力を与えるために自動的に村まで戻ってくるようになっている。
しずくを取ると、同じ場所では1年間はしずくを取ることができないので、別の場所へと探しに行く。
それを繰り返すというのがこのゲームのあらましだ。


ダンジョンではアイテムをたくさん拾えるが、魔法が使えるようになる魔石はダンジョンから持ち出すことはできない。
同じダンジョンでも、別のダンジョンでも、その都度見つけないことには魔法が使えないようになっている。
ただし、魔石と同じ性質を持つアーティファクトを所持していれば別である。


プレイヤーの能力を上げるアーティファクトというアイテムはボスを倒したときのみ、拾ったアーティファクトの中から1つだけ好きな物を持ち帰ることができる。
ミルラの木が枯れていてもダンジョンにもう一度入ってボスを倒すことは可能なので、同じダンジョンでまた別のアーティファクト得ることができるのだ。
アーティファクトは攻撃力が+1になるとか、体力のハートが1つ増えるとか、実質上の経験値みたいなもので、これをたくさん集めれば強くなっていくというわけだ。
しずくを採取して1年が経過すると、そのダンジョンはレベルが1段階上がってしまうので、簡単に入手したいのなら、しずくが復活する前に何度かボスを倒すといいだろう。



キャラバン


簡易地図のワールドマップで場所移動をする。移動の手段は馬車という体裁になっている。というのも、主人公らはクリスタルキャラバンを結成して旅をしている設定だからだ。


1つのセーブデータで最大8人のキャラクターを作ることができる。これが自分の村のクリスタルキャラバンとなる。
ワールドマップにいるときに「冒険をする」を選ぶと、どの時点でもキャラ作成することができる。
そしてワールドマップ上であるならば随時プレイするキャラクターを変えることができる。
マルチモードのときは、その作ったキャラクターの中から1人ずつ選び、同時に4人までダンジョンに入って冒険することができる。


シングルモードの時は1人しか操作できず、モーグリは別として、聖剣伝説のようにノンプレイキャラクターとしてはついてきてくれないし、ドラクエのように馬車にいる仲間にダンジョンで得た物を分け与えることもできない。
なので、実質は、何人キャラを作っても、1人のみをメインに操作して育てることになる。
もしも多くのキャラクターを育てたいならば、年数が経過する前に同時進行的に同じダンジョンをクリアしてアーティファクトを入手しておかないと、弱くてレベルの高いダンジョンをクリアするのが難しくなってくる。



種族と家族

防御力が高いオールグラウンドなキャラクター、クラヴァット。愛らしい容姿でありながら攻撃力に長けたリルティ。なぜめいた容姿をしている魔法能力の高いユーク。敏捷性に優れ、アクションまでの時間が短く、攻撃範囲も広いセルキー。
4種族がこの世界のほとんどを占め、プレイヤーもこの種族から選んで旅をすることになる。
1つの種族には男女の別があり、髪型やコスチュームの異なる合計8パターンのキャラクターが用意されている。
親の職業をかじ屋、さいほう屋、農家、牛飼い、こなひき、漁師、商人、錬金術師の8種から選んでスタートとなる。


かじ屋の親なら村に帰ったとき破格の値段で武器を作ってくれたりと、それぞれに特色がある。
また、商人を親に持つキャラクターを作っておけば、別のキャラクターでも他の村よりも少し安くアイテムが買えたりするなど、お得なこともある。
それに、1人キャラクターを作ると村に4人の家族ができるので、キャラクターをたくさん作っておいたほうが村がにぎやかになる。


ミルラのしずくを採取したときのみに家族の誰かから手紙が届く。
返信にアイテムを同封できるので、果物の種を送れば実家で果物の実を収穫してアイテムとしてくれるようになるなど、様々な恩恵がある。



戦闘シーン

敵に近づくと向かってくるので、倒すなり逃げるなりして進むアクションRPGである。
Aボタンを押すと武器で直接攻撃をする。タイミング良くボタンを連続して押せばコンボとなるが、敵の動きも速いので攻撃を食らってなかなかうまくはいかない。



また、Aボタンを押し続けると力を貯める。その間、キャラクターを移動させることができないので、敵の動きを見極めてからではないと、敵の攻撃を食らってしまうし、攻撃によってはまた一から力を貯め直さねばならない。
力が貯まると足元にリングが出現するので、それを方向レバーでターゲットまで動かす。
その距離は種族によっても違うが、そう遠くまでは動かせない。
Aボタンを離せばリングの地点まで移動攻撃をして、通常より大きなダメージを与えられる。
武器によっては弾のような物を撃つので、敵に近づいて攻撃を受けたくないときには扱いやすい武器となる。



魔法を使う

魔石にはケアル、ファイア、レイズなどの種類があり、それをダンジョン内で拾うと魔法が使えるようになる。
MPは存在しないので使いたい放題だ。
魔法を使うにはメニューを開き、コマンドリストに拾った魔石をセットしなくてはならない。
初期の段階ではコマンドリストの空きは2つだけである。


セットしたら戦闘画面に戻る。
自分が操作しているキャラクターの顔アイコンが出ているところの下に、Aボタンで操作するアクションが記されている。
「たたかう」とあったらAボタンで武器による攻撃をして、「まもる」とあったら身を守る。
アクションを変えるにはLRボタンを押す。
ボタンを押していくとコマンドリストにセットした魔石の魔法が出てくるので、「ケアル」や「ファイア」など、使いたい魔法が表示されたらその魔法がAボタンで使えるようになる。
魔法はAボタンの長押しでリングを出現させなければ使うことはできないので、使う場合は敵の動きを見てタイミングよく。


また武器攻撃したければ、「たたかう」までLRボタンを押してアクションを変えなくてはならないので、アクションゲームの割に操作が俊敏にできないのはちょっとイタイ。
ゼルダのように2つか3つのボタンにアクションをセットできたらよかったのに。


シングルモードの場合、コマンドリストに魔石を複数セットすると、その組み合わせによっては合成魔法をつくることができる。
ファイアとブリザドの場合、グラビデになるが、合成したらAボタンで使用可能な魔法はグラビデのみとなる。ファイアが使いたくなったら、コマンドを開き、合体を解除しなくてはならない。
コマンドリストの空きが増えたら、ファイアとブリザドでグラビデを作り、もうひとつファイアの魔石をセットするという使い方も可能になってくる。
また、装備していない武器と魔石を合体させて魔法剣をつくることも可能だ。


マルチモードの場合は、複数のプレイヤーで同じターゲットにリングを合わせ、タイミング良く魔法をかければ、より強力な魔法、マジックパイルを発動する。



レシピと材料

ダンジョンを探索していると、武器などの装備品のレシピや、それらを作るための材料が入手できる。店でも買うことができるが、それらを鍛冶屋に持って行くと武器や防具をつくることができる。
店には武器や防具そのものは売ってないので、レシピと材料を入手する必要があるのだ。
作成した武器や防具は売ることもできないし、マルチプレイでもあげることはできないので、売ったりあげたりするにはレシピや材料のままにしておかねばならない。
アイテムを預かってくれるところもないので、すぐに手持ちがいっぱいになってしまって困った。



イベントと思い出

ワールドマップを歩いていると突然イベントが発生することがある。
イベントといっても他のキャラバンに遭遇したとか、敵の倒し方を教えてもらえるとか、アイテムを交換するとか、そういったたぐいのことで、それらは「思い出」として日記につづられて、読み返すことができる。
つまりそれが冒険記で、クリスタルクロニクルということなのだろう。


継続性のあるイベントもあり、黒騎士はこの瘴気につつまれた世界についての重要な鍵を握っている。でもまぁ、ほとんどシナリオはないといってもいい。
町では思い出を失っている人がいるらしいが果たしてその謎は……。


そしてその謎の先には最終ボスもいるが、かなり強いので、俗に言うレベル上げが必要で、つまりアーティファクトを入手するために何度かダンジョンのボスを倒しに行かねばならない。
風変わりなゲームでおもしろいのだけど、ひとりでやりこんで遊ぶにはちょっと不服なところもある。多人数でもやってみたいゲームだ。



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FFCC      メモリーカード251  ゲームキューブ専用コントローラ