ゲーム録

テレビゲームについて語る

 零 月蝕の仮面

アクションアドベンチャー
任天堂(開発:テクモ) 2008年7月31日発売 Wii

NINTENDOSOFT WiiReview

シリーズ作品

プレイステーションで展開していた「零(ゼロ)」シリーズがオリジナル作品でWiiに登場。特殊なカメラで霊を撮影して除霊するという異色ホラー。
バイオハザード」のようなタイプのアクションアドベンチャーで、病院、保養施設、屋敷、洞窟と、一続きに閉鎖された空間を探索する。



禁断の神楽

朧月島という孤島に古くから伝わる神楽があった。
奏と呼ばれる5人の演奏にあわせ、仮面を付けた巫女が舞うというもの。
その昔、「無苦の日」と呼ばれる厄災が起こるなど、一歩狂えば大変な事態に見舞われる祭事でもあった。
十年前、この神楽の最中巫女が倒れ、島の者たちが死んでいくという怪事件が起こった。
このとき、5人の少女が神隠しにあい、本州からやってきた刑事霧島にて救い出された。
そのうちの2人が不可解な死を遂げ、流歌、海咲、円香は再び廃墟となった朧月島へとやってくる。


月に感化したり、記憶をなくしていったり、あげくには顔が失われていくような症状を「咲く」と島民はいった。
ことの発端は仮面をかぶった巫女であるようなのだ。
その病気の研究のために灰原がしていたこととは。
そしてまた霧島も事件の中心人物灰原を探るべく島へと足を運んだ――。


ストーリーは章仕立てになっており、章ごとに海咲、流歌、霧島がプレイヤーとなって探索する。
なぜか互いに出くわすことはない。
海咲はこの病院にいた「たいせつなひと」を探し求め、流歌は仮面を作る職人であった父を思い出し、霧島は灰原の研究の内容と神隠しについて探る。



カメラ

施設内には死んだ島民の霊がうようよとさまよっている。
射影機と呼ばれる特殊なカメラで襲いかかってくる霊を倒していく。
Bボタンでカメラをかまえるので、画面が切り替わる。ファインダー越しなので視野は狭い。
画面上に霊がいる方向が赤く表示されるので素早く探せるかがポイント。



霊の姿をファインダー内で見ることができれば、Zボタンで動く霊をロックオンすることができる。
ファインダーで霊をとらえていると画面中央のサークルが点灯し、霊力がたまっていく。
ためるほど攻撃力は強くなり、のけぞらせることも可能になる。
何ポイントダメージを与えたのかその都度表示される。
至近距離になりピンチの時にはサークルの色も変わるので、その瞬間にシャッターをきれば霊力をチャージしていなくても大ダメージを与えられ、またチェインとなって連続攻撃できる。


霧島は流歌の母小夜歌から預かった霊石灯で攻撃する。
こちらはAボタンを押しっぱなしにして照射し、Aボタンを放すと霊に攻撃する。
月の光をエネルギーとしているので、連続で使うと燃料切れをおこす。
時間経過で自動的に回復する。



性能アップ

強化レンズを拾えばCボタンで特殊攻撃できる。
霊を遠ざけたり、動きを鈍くさせたり、通常よりも強い力で攻撃したり。
Cボタンでの攻撃には別の霊力をためておく必要があり、画面右下に表示された青いゲージが満タンになると青いボールが点灯し、そのボールの数だけCボタンが使用可能となる。
その霊力を溜めるには霊を撮影していけば自然とたまっていくので、いざというときに使うようにしたらよい。



カメラには装備しているだけで効果のある付属品もある。
霊が飛びかかってきたときリモコンを振るだけでそれを避けることができたり、霊の体力ゲージを表示させたりと、いろいろある。
カメラを拾ったときのフィルムは無限大に使えるが、入手した特別なフィルムは数に限りがあり、除霊の効果は高い。
そのときどきに応じて使うフィルムを変えていく。


拾った霊石はカメラと強化レンズの機能向上に使う。
霊石の個数は3人が拾ったトータルで表示されているが、それぞれ別のカメラ(霊石灯)を保有しているという設定なので、流歌のカメラで強化しても海咲のカメラには変化がないので、配分には気をつけた方がいい。
同様に、拾ったフィルムや回復アイテムもそれぞれが持って歩いていることになっている。


霊を攻撃した時のポイントが蓄積されていくのだが、セーブポイントでアイテムと引き替えることができるので、回復アイテムが足りないときは補えるようになっている。
また、クリア後に引き替えできるアイテムやコスチュームもあるので、なるだけ温存したい。



手を伸ばす

何かが落ちているときには、画面の右端に青いランプがともる。
その方向に懐中電灯の光を当てると、アイテムが落ちている場所が青く光る。
そこを調べると手を伸ばして入手するのだが、この動作の最中にどこからともなく手が伸びてきて、プレイヤーの手をつかむことがある。これがまた怖いし、資料系のアイテムでなければその霊が持ち去ってしまうのだ。


このゲームでは日誌や日記、手紙、カルテ、音声テープなどが至るところにあって、それが事件の経過を明らかにしていく。



写った霊たち

写真を撮ると、霊リストに自動で追加されていく。
襲ってきた霊の名前と、どんな人物であったのかの説明が書いてある。
また、襲いかかってはこない霊というのもあって、目の前を通りすがっていく。
すぐに消えてしまうので素早く撮影すると霊リストに追加され、そのときの霊の様子(主に過去の行動)を知ることができ、より事件について詳しく知ることができるというのもいい。
通りすがりの霊たちは次へ進む場所への道案内役にもなっている。


撮影することによって現れる霊というのもいて、その場所にカメラを向けると色が違う場所があるので、シャッターを押せば霊が写る。まるで心霊写真みたいだ。
そのほかにもストーリー進行に重要な役割として、念が残っているような場所を撮影したら、次へ進むヒントが写り込む。
サイコメトラーのようだ。


もうひとつの楽しみとしては、至る所に日本人形が置いてあるので、それを撮影して呪いを解いてやる。すると、クリア後にいいことがあるらしい……。人形の置かれている場所はわかりにくいこともあるので探すのも一苦労だ。



それにしても怖い

霊が忍び寄ってくるのはもちろん怖いが、演出もなかなかに怖い。
鳴り響く電話に出ると過去からの声とでもいうのか、不気味な声が聞こえてくる。
初めは気づかなかったのだが、リモコンのスピーカーからトランシーバーのように聞こえてくる。
ボリュームを上げておくと臨場感があっていい。
シャッターを切る音とか、除霊されたときの断末魔の悲鳴などもリモコンから聞こえてくる。
もちろん振動機能もあるので有効にしておいたほうがいい。


初めは単調だった霊の動きも、だんだんと多人数で襲いかかったり、扇子から弾のようなものが飛び出てきたり、瞬間移動でもするように近づいてきたりと、手強くなってくる。
一番やっかいなのはやっぱり多人数だ。
カメラを構えていると視野が狭いし、動きが遅い。
襲われそうになったらブンブンリモコン降って避けるのが得策。


クリア後もおまけのミニゲームがあったり、難易度の高いモードが出現したりと、結構遊べるゲームだった。
よくをいえば、アドベンチャー的な要素がもう少しあるといい。
鍵がかかっているという理由ではなく、ストーリーの都合上で行き来できなくなっている部屋などがあるので、そのあたりがうまくできていればよいのだけど、まぁ、考えようによってはムダに動かないようになっているともいえる。



         
零 月蝕の仮面    零~zero     零~紅い蝶