ゲーム録

テレビゲームについて語る

 桃太郎伝説

ロールプレイングゲーム
ハドソン 1987年10月26日発売 ファミコン
HUDSONSOFT

未だかつてないRPG

桃太郎がお供にいぬ、さる、キジを連れ、鬼を退治しに行く。金太郎や浦島太郎は仲間にはならないけど出演、ヒロインにはかぐや姫、なぜか至る所にあるすずめのお宿……といった具合に、誰でも知っている昔話を随所に感じさせる、和風痛快ギャグRPG。
貧乏神や天の邪鬼といった、お金やアイテムを盗むいやーなキャラもいれば、クイズに答えて正解すればお金をあげちゃう福の神もいる。
少年ジャンプで読者からアイデアを募るなど、プレイヤーがゲーム作りに参加したのも珍しかった。


システムは単純で、小難しいことはいっさいなく、すぱっとその世界に入りこめてしまう。敵や登場人物はユニークで「さくま」ワールドに浸ってしまうだろう。「ほほえみの大地」に出現する敵はセリフも凝っていていろんなことをしゃべってくる。

ゲーム外の演出

このゲームには説明書の代わりに一枚のリーフレットが入っていた。『桃太郎新聞1号』と題した新聞を模したものである。
数年前に川で拾った桃から男の子が誕生し、マスコミを賑わせた──ということから始まり、桃太郎が鬼退治を決意したいきさつを語っている。このソフトを手にしたあなたはゲームを始める前からこのユーモアに取り憑かれるだろう……とはいっても手に入りにくいんだろうなぁ。



豪華スタッフ

いわずと知れた生みの親、さくまあきらさん、キャラクターデザインには土居孝幸さん。とある世代には有名な『ジャンプ編集局』のメンバーである。つくづく、あの頃はジャンプが天下とってたなぁと……。
そして音楽はサザンオールスターズ関口和之さんである。
桃太郎伝説はアニメにもなり、89年よりテレビ東京で放送された。人気ぶりがわかるでしょ。今でもハドソンの主力キャラであるのもうなずける。



どんなゲーム?

桃太郎が生まれたいきさつが紙芝居風に語られ、満6歳になると鬼退治へ行くことを決め、旅立っていく。当時の主流だったファンタジー路線ではないので、イベントも謎解きも個性的で斬新だ。
術を覚えるには仙人の庵で修行が必要になるのだが、一筋縄ではいかない。


戦闘シーンはいわゆるドラクエ型で、敵の姿しか見えない。お供は仲間にくわえると攻撃力や防御力が飛躍的にアップするが、戦闘にはほんのたまにしか加わらない。しかし、桃太郎より多くダメージを与えてしまうのを見ると、桃太郎頑張れって絶叫したくなる。
とっつきはいいのだが、謎解きは徐々に難しくなってくる。雪原のあたりから敵も急に強くなり、以降レベルアップに時間を費やすことになってしまうだろう。後半の敵はほとんどが回復系の技かアイテムを使ってくるので辛い。
敵の多彩な攻撃に比べ、桃太郎の技は「ろっかく」ぐらいしか役に立たないのが残念。しかも、技の消費は大きいので注意が必要だ。



終盤は堪える!!

このゲーム、なかなかお金が貯まらないのに、武器や防具は結構高価だ。ステータスもわずかしか上がらないし、身につけても効果が目に見えて良くならないのが気持ちよくない。レベルアップ時も同様なので、なかなか前に進めなくて参ってしまう。
店で売られているアイテムは、ゲームを進めていってもスタート当時とのものとかわらない。どこで入手するかといったらすずめのお宿にある「つづら」である。ランダムでアイテムが当たるのだが、欲しいものが当たらずにお金を費やすことに……。
なら、やらなきゃいいのだが、技を回復する「うちでのこづち」がなければ、後半の洞窟を攻略するには苦戦を強いられる。


あと、ゲームにはまったく関係ないのだが、桃太郎は2時間ごとに1歳ずつ年をとっていく。ステータス画面で桃太郎のグラフィックが変化していくのだが、さすがに、じいさんの主人公はいやだな、と思ってしまう。じいさんのくせして強いんだから、仙人といってもいいのだろうけど、主人公は若い方がいいよねぇ。



天の声

ま、早い話、パスワードのこと。神社で天の声を聞いて再会するときに入力する。では、恒例の仕掛けパスワードを伝授しよう。



45段でゲームスタート。宝物は全部持っている。年齢は0歳になっていることも……。


やつぱりこのげえむはおもしろい
20歳24段でスタート。



使われた音楽を視聴できるモード。


すべてのてき
桃太郎美術室。敵のグラフィックが見られる。


ゲームクリア後のお楽しみ。
リセットして再びゲームを始める。するとBダッシュで家、岩、海などの障害物をすり抜けて歩けるようになる。迷わず希望の都で銭湯に入ろう。なんと8歳未満だと女湯に入れてしまうのだ!



超シリーズって?

パッケージに見慣れない「マル超シリーズ」の文字。どうやら第3弾であるらしい。ちなみに第1弾は「ボンバーキング」(87.08.07発売)、第2弾は「ファザナドゥ」(87.11.16発売)。「マル超シリーズはハドソンの新しい顔です」と書いてあるから、新しいソフト、もしくは新しいシリーズにつけられたのだろうが、それ以上の消息は知られていない……。



リメイクで遊ぼう

桃太郎伝説1→2』はただのカップリングソフトとはわけが違う。「タイムカプセル」のシステムは画期的で、シリーズ通してフィールドかそれほど変わらないというマンネリを逆手に取っている。


cover
桃太郎伝説プレイステーション 1998.12
桃太郎伝説1→2』ゲームボーイカラー 2001.01.01