ゲーム録

テレビゲームについて語る

「風のタクト」を考察する

ゼルダの伝説シリーズをストーリー面から徹底解析します。
それぞれのシリーズの繋がりはどうなのか?
ネタバレ含みますのでご注意を。



主人公は?

プロロ島に住む少年。肉親とおぼしき「妹」と「おばあちゃん」が登場している。
男の子が大きくなると緑の衣を着せて祝う風習がある。ハイラル王国を救ったという時の勇者と同じ格好だ。しかし、ハイラル王国がその後どうなったか知るものはない。いまはただ、広い海に島々が浮かんでいるだけだ。
簡単なプロローグではあるが、この時の勇者は「時のオカリナ」で活躍したリンクを匂わせている。それも、リンクが7年間魂を封印された後ガノンを倒した時間軸の延長にあり、リンクが幼少時代に戻ってマスターソードを時の神殿に戻し、封印戦争が起こった時間軸とはパラレルワールドになる世界という設定のようである。
つまり、「時のオカリナ」を起点として、「風のタクト」と「神々のトライフォース」に続くゼルダシリーズと、2つの時間軸に分かれているというのが通説のようである。

赤獅子

1回目に魔獣島へ乗り込んだリンクを救ったしゃべる船。実はかつてのハイラル王の化身である。時の勇者によって封じられたはずのガノンが復活した時、王は勇者が現れるのを待つばかりだった。神は大洪水よってガノンハイラル王国もろとも海へと沈めて封印した。
以来、ハイラル王はガノンの復活を警戒し、勇気を持つ勇者を探している。神はすべての人々を海へと沈めたのではなかった。島々の者たちは神によって選ばれたハイラルの者たちの末裔である。
ハイラル王は「この地、ハイラルにとらわれすぎていた」と語っているが、スタッフを代弁しているような言葉だと思った。シリーズとはなにかを考え、ハイラルという枠組みに四苦八苦しているようでもある。

ゼルダ

6人の子分を従える海賊の長、テトラ。ゼルダの血を引く者だった。海の底にあるハイラル城にはゼルダと6人の男たちの肖像画が掛かっている。これが7人の賢者なのか、それとも海賊たちの祖先なのか不明だ。

ガノンドロフ

彼の国は砂漠の中にあったという。神によって封じられたガノンは魔獣島に抜け穴を作り、復活を果たした。魔獣島からガノン城へと通じていたのだ。そこは沈められたハイラル王国の一角にあり、リンクは初め、ハイラル城の結界を破ってカノン城へと続く洞窟へやってくる。
テトラの放つ光の矢を受け、リンクにとどめを刺され、石と化す。「我、種子を放てり……」という言葉はおそらく、ガノンの言葉であろう。

マスターソード

神によって海に沈められたハイラル城の地下に台座がある。地下への入り口は時の勇者の石像の下にある。マスターソードは魔物を封じていたので、リンクが抜いたことによって止まっていた時間が動き出したかのように魔物が復活した。
すでにガノンは剣に神の力を注ぎ込んでいた賢者2人を殺害しており、マスターソードは真の力を持っていなかった。殺されたのはゾーラ族のラルトとコキリ族のフォドで、それぞれ大地の塔風の塔で祈りを捧げていた。後継者は翼の生えたリト族のメドリと、大地の精霊デクの樹のもとにいるコログ族のマコレ。2人が賢者として目覚めるとマスターソードに力が宿る。
マスターソードに力を注ぎ込んでいた賢者が何人なのかは明らかにされていない。「時のオカリナ」ではゾーラとコキリはそれぞれ水と森の賢者であったが、ここでは大地と風の賢者になっている。これをどう解釈すればいいのか、わからない。

聖地とトライフォース

力のトライフォースガノンの手にある。
知恵のトライフォースのかけらはテトラが代々伝わるものとして持っていて、ハイラル王がもう一つのかけらを持っていて完成し、テトラに宿る。
勇気のトライフォースは時の勇者がハイラルを去る時、8つの小片になってハイラルにちりぢりになったという。リンクはそれらを集めた。血を引く者と言うよりは、試練を果たした者であり、ハイラル王からは「風の勇者」だと言われた。
最後はその3つが1つとなった。ガノンの手に落ちる前にハイラル王がトライフォースに触れ、願いをかける。再びハイラルを海に沈め、テトラとリンクの未来に希望があるよう願った。テトラはハイラルになる大地がどこかにあるというが、王はだがそこはお前たちの国だといっている。ラストはテトラは海賊船に乗って、リンクは赤獅子に乗って同時にプロロ島を旅立っており、ふたりが同じ道を進んだのかは不明だ。

神の塔

ディンの神珠、フロルの神珠、ネールの神珠を手に入れ、島の台座にそれぞれ置くと神の塔が出現する。太古の神によって創られた試練の塔で、乗り越えられた者は神に勇者として認められ、悪を滅ぼす力を持つことが許される。リト族に翼を授ける竜のヴァルー、テグの樹、水の精霊ジャブーが持っている。ちなみにジャブーが統治する島はすでにガノンによって廃墟と化している。
ゾーラ族の賢者も殺されているし、海に沈められただけあって、水への恨みは強いのか?

風のタクト

リンクが赤獅子から受け継いだ指揮棒。本来はハイラル王がタクトをとり、賢者がそれぞれの楽器を演奏し、神を呼び出していたという。賢者を目覚めさせる時もリンクが指揮をとり、賢者が楽器を奏でてマスターソードに祈りを捧げている。なので、これも元々はハイラル王が中心となって指揮をし、賢者は巫女のような役割を担っていたんじゃないかと思う。
この物語では珍しくハイラル王が活躍しており、ハイラルが沈む前まではハイラル王が強い実権を握っていたように見える。それ以降の時代はゼルダ姫が重要ポストになっていったということが考えられないだろうか。
もっとも、ハイラルはここで消滅した可能性の方が高いわけだが……




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