ゲーム録

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ゼルダの伝説をひもといてみる――仮説編

「初代ゼルダ」から「トワイライトプリンセス」まで、ゼルダの伝説シリーズをストーリー面から徹底解析してきました。
詳細は目次より各項目をご覧ください。
それぞれのシリーズの繋がりはどうなのか検証していきます。
ネタバレ含みますのでご注意を。



制作者側のインタビューなどから

制作者の話によれば、「風のタクト」と「トワイライトプリンセス」はパラレルワールドになっているという。
時のオカリナ」でリンクがマスターソードを抜き、時の勇者となってガノンを封じたあとの話が「風のタクト」。リンクが幼少時代へ戻ってきてハイラルから旅立ち、おそらくはマスターソードを抜いていない続きの話が「トワイライトプリンセス」ということである。


時のオカリナ風のタクト
時のオカリナトワイライトプリンセス


という2つの時間基軸が存在することになる。
ソフトが発売された順序から、「神トラ」はハイラルがまだ1つの国であった頃とか、リンクが活躍するもっと昔などという記述があることから、小王国が舞台の「初代ゼルダ」より前の時代と考えられる。
ゲームボーイの「夢を見る島」も「神トラ」発売後で、ハイラルの平和を取り戻した後の冒険と書かれており、「神トラ」と同様に主人公の名リンクが使われていないので、普通に考えたら「神トラ」のあとということになる。
「神トラ」は封印戦争が起こっており、ハイラルも崩壊していないので、「トワプリ」のほうの時間軸に属すると思われる。


神々のトライフォース→夢を見る島→初代ゼルダリンクの冒険


というのが通説である。


しかし、それらのことを一切無視して考えてみようと思う。
なぜなら、考えるのは楽しいから(笑)
なので、ここからの仮説はソフトの発売順序は関係ないものとする。
たとえば「ハイラルが1つの国であった頃」という記述にしても、現実の歴史を考えれば国が分裂したり統合したりというのは繰り返されていることで、いつの時代かは特定できないということ。
「リンクがガノンを倒して平和を取り戻した後」といっても、今もしこの記述があるソフトが発売されたらどれを指すのかわからないと同様に、発売順序からは推測しないものとする。
以上の条件を元に仮説を立ててみます。



◇仮説1.「神トラ」→「トワプリ」という時の流れ

まずは「時オカ」からの時間の流れを考えてみる。リンクが未来から帰ってきて、幼少時代にも大人になってからもマスターソードを抜かず、封印戦争が起こったという時間の流れ。


トワプリ」では時の神殿が朽ち果てているので、時の神殿が現存している「時オカ」以降ということになる。過去の時の神殿から持ち帰ったコピーロッドも力を失ってしまっているので、あまりに長い時間が経ってしまっているということがわかる。
「時オカ」ではハイラル城下町に時の神殿があり、マスターソードの台座もそこにあり、それらはかなり神聖なものであったことがうかがえる。どういうわけか「トワプリ」も「神トラ」も剣の台座は森の中にひっそりとある。「時オカ」のときに、あまり目に触れるところに置かない方がいいと思われるようになったか、もしくは時の勇者が現れなかったのであまり重要視されなくなったかのどちらかではないだろうか。


リンクがマスターソードを抜かなければガノンは聖地に入れないはずだが、入り口を他の方法で見つけ、トライフォースを手にした。手にしないことには「トワプリ」でガノントライフォースがすでに宿っていることもないし、「神トラ」で聖地が闇の世界になっていることもないからだ。そして、いずれの場合にせよ、ガノンは賢者によって封じられている。
「神トラ」と「トワプリ」はなんとなく似ているが、入れ替わっても時代考証的には問題ないような気もする。
「神トラ」の発生を考えると、封印戦争でガノンを封じたことにある。マスターソードを持った勇者は現れていないのだ。かえって「トワプリ」でリンクがガノンを倒したという歴史を挟まない方がしっくりくる。


「時オカ」と「神トラ」では聖地に降り立った三神についての伝説があるが、「トワプリ」では三神の名の名残がある神獣が登場するだけ。それまでのシリーズで姿を見せていた大妖精もいない。だんだんマスターソードや聖地、トライフォースといった伝説が薄れていっているようにも思える。
そして、マスターソードを抜く時の手順がだんだん簡素化されていっている。「トワプリ」にいたっては特に紋章だの精霊石だのを集める必要がない。
ただ、「トワプリ」での天空人の存在の発見は、まだ文明が発達していない古い時代のことのようでもある。



◇仮説2.風のタクト」が始まりだとしたら。

「時のオカリナ」のところでも述べているが、時の勇者というのは、どのような方法でかはわからないが、「時オカ」以前にも現れていた可能性があるという点である。「風のタクト」でいうところの緑衣を身にまとった時の勇者が「時オカ」のリンクではないとしたら、「風のタクト」のあと、やっぱりハイラル王国は復興したのではないかということ。
トライフォースハイラル王が触れたので、彼の意のままだ。その後、王自身、もしくは後継者によってハイラル王国を元に戻したか、別の場所に立国したことも考えられる。
風のタクト」でガノンは倒され、時は経ち、女ばかりのゲルド民族の中から輪廻したガノンドロフが誕生し、世界征服のため、聖地を探し始め、「時オカ」へと続いていくとしたら。


実はこの聖地うんぬんというのは「立国」のことを伝説化したものではないか。
三神が降りたって世界を創造した――これがハイラルの復興を指しているとしたら。
風のタクト」のラストでハイラル王は3つのトライフォースを手にした。これを誰の手にも渡ることのないよう、厳重に管理した。それが時の神殿であり、カギとなるのが時のオカリナと3つの精霊石、そしてマスターソードを扱える勇者。
もしハイラルが復活していたら、パラレルワールドは存在しなくなる。



◇仮説3.初代ゼルダ姫の謎

最大の謎は初代ゼルダ姫が魔術師によって眠りにつかされたのはいつかということである。
シリーズのハイラル王女の名はすべてゼルダである。「リンクの冒険」において、ハイラル王国の姫がなぜみなゼルダと名付けられるのかが語られている。そうすると、初代ゼルダはシリーズ進行中、ずっとどこかで眠っていることになる。
しかし、封印されているはずの勇気のトライフォースは、通常リンクに宿っていることになっている。
「初代ゼルダ」と「リンクの冒険」はシリーズの一番最後とされているが、シリーズ進行中、本当は初代ゼルダ姫は目覚めていて、ゼルダという名前を付けるのも慣習になっているのかもしれないとは考えられないか。




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