ゲーム録

テレビゲームについて語る

 ラストストーリー (THE LAST STORY)

ロールプレイングゲーム
任天堂 2011年1月27日発売 Wii

NINTENDOSOFT WiiReview

新規RPG

坂口博信氏率いるミストウォーカー製作、発売元任天堂ロールプレイングゲーム。「ファイナルファンタジーV」以来のディレクター業ということで、調整にも長い時間を費やしたようである。
新規のタイトルなのでわくわくしたが、ストーリーは非常に王道だ。


帝国の南端に位置するルリ島が舞台。ルリ島には大きな砲台が備え付けられており、帝国を守る要としても機能している。
本土は謎の現象で自然がむしばまれているが、ルリ島にはまだ本格的にはおよんではいなかった。
主人公のエルザたちは雇われ兵士として生計を立てており、民衆からは疎まれるような職業に見られていた。
そんなとき、ルリ島を治めるアルガナン家に雇われることとなり、ルリ島へと渡ってくる。
一方、アルガナン家の跡取り娘カナンは閉鎖された暮らしと、決めつけられた政略結婚に嫌気をさしていた。


私の中でのイメージとして、FFといったら帝国軍対反乱組織といったかんじなのだが、エルザは帝国直轄の騎士にあこがれを抱いており、傭兵ならば帝国軍や騎士の噂話を耳にすることがあっただろうに、その内部に近づくにつれ夢とのギャップに気づかされるような青二才なところがある。
彼の仲間のクォークは本質を見極めているような所があって、彼の行く末には納得できるものがあったのが印象的だった。


さて、ストーリーのひとつの柱となっているのがアルガナン家の伝承にまつわる秘密だ。
エルザは一番初めのチュートリアル的なステージで特殊な能力に目覚める。これはアルガナン家に伝わる「異邦の力」と呼ばれるもので、ルリ島の危機に見舞われるとその能力が復活するのだと伝えられていた。
アルガナン家と、一族からルリ島を追いやられたグルグ族との間で異邦の力を巡って醜い争いが勃発するというのが話の大筋。



ギャザリング

ゲームシステムはアクションRPGに近い。
敵に近づいてレバーを倒せば自動で攻撃をする。敵に囲まれて逃げようとしても自動で攻撃してしまうので、やりにくかったらAボタンで攻撃するなど、キー入力は変えられる。
まぁ、そもそも敵に隅っこに追いやられないように行動しなくてはやられてしまうんだけどね。
HPがなくなるとライフが1つ減り、ダウン状態となり、一定時間後戦闘に復帰する。
主人公のライフが全部なくなってしまうとゲームオーバー。仲間の場合はK.Oとなって、その戦闘では復帰できなくなってしまう。(テンション技で復帰させることは可能)


エルザの身に宿った能力がギャザリング。
Cボタンを押すと周りの敵の注目を一気に集め、自分に攻撃が向かうようになる。これの最大のメリットは仲間の魔術使いの間接的な手助けになるということ。
魔法を唱える者は発動までに時間がかかり、その間に敵から攻撃を受けるとまた一から詠唱しなおさなくてはならない。
詠唱中は少し空中に浮いているのでアローで攻撃してくる者などに狙われやすいのだ。
そしてその能力の発動中は詠唱速度が2倍になり、また、エルザも敵を攻撃すればHPが回復していく。
ダウンしてしまった味方に触れると一定時間能力が強化されて復活するので、リスクが大きい反面、メリットもまた大きい。


ギャザリングバーストのスキルを覚えると、ギャザリング中に敵からの攻撃をチャージして解除すると敵の動きを鈍らせることができる。
またガード斬りのスキルが追加されると攻撃のタイミングに合わせてガードをするとカウンター攻撃をする。魔法弾や物を投げる攻撃もはじき返せる。



主人公ができること


物陰に隠れた状態で敵に斬りかかると、敵は油断しているので大ダメージを与えられる。
ボウガンで攻撃しておびき寄せることができたら他の敵に気づかれずに1体ずつ倒してくことができる場面もある。


戦闘開始時には見下ろし画面で戦況を確認でき、どこから攻めるか、また注目モードで柱を破壊する指示などもできて、ストラテジーの雰囲気も持つが、戦闘が始まると敵味方が入り乱れて状況が一転してしまうので、入り組んだ場所だと何がなにやらわからなくなってしまう。
全体的に色が暗いのでもう少し色や形別けされていたらよかった。敵の種類は少ないと思う。


Aボタンはスティックを倒しているときに回避行動を取るが、立ったまま押し続けると「ウィンド」を発動する為に一時停止となって見下ろし画面となる。カーソルを動かして発動位置を決めるのだ。
ウィンドは味方が出した魔法サークルを拡散させて効果を広げたり、敵の魔法サークルを消滅させられる。
魔法サークルはその中に入っているだけでも効果がある。回復魔法のサークルはその魔法を唱えた者の周りにしかできないので、そこへ入るかウィンドで拡散するしかない。


垂直斬りのスキルを覚えると壁に向かって走り続けると壁を登り、見下ろし画面になる。
「ウィンド」と違って一時停止にはならないので、敵から攻撃を受けると解除されてしまう。カーソルで斬りかかる位置を決める。敵も動いているし、位置も自分が思っている位置と少しずれていたりするのでガツンと決めるのが難しかった。



仲間の操作

スキルゲージが満タンのときに上ボタンを押すとコマンドモードになる。
見下ろし画面になって、敵の位置と敵の属性がわかるのでよい。
いつでも俯瞰モードで確認できればいいのだが。
というのも、やはり3Dは全体的に把握するのが難しい。2Dの画面見下ろしだったら、たとえば聖剣伝説なんかだったら把握しやすいし、ピンチのキャラに操作を切り替えて難を逃れさせたりもできるが、3Dで仲間を引き連れてアクションで戦闘となると、すべてが自分のスキルと対等になるわけではない。
なので、なんだかわからんうちに勝ってしまったということも起こりうるし、打撃系のキャラが敵の近くに寄りすぎていてあっといまに死んでいるなんてこともある。
それはこのゲームだけに限ったことではないかもしれなくて、キングダムハーツをやったときもドナルドとグーフィーの存在価値があるのかないのかよくわからなかったし。


それはさておき、コマンドモードは主人公をふくめて行動を指定できる。
「リターン」は回復サークルに移動させるので、とりあえず打撃系キャラを敵から離れさせたいときにも便利。
武器攻撃は攻撃する敵までは選べない。
魔法はどのモンスターに使うのかが指定できる。
魔法はテンション技を含めて1人に付き3種。
テンションがマックス時に使えるのがテンション技で、ボス戦に役立つ。ボスは通常攻撃が訊きにくいので、影縫いで動きを止め、仲間と斬りまくってチェインに持って行くのが有効。


チェインというのは、仲間と交互に攻撃をするとダメージが大きくなっていくというもの。3人で囲めば威力が増す。一人で攻撃する場合は仲間が出した魔法サークルの中で斬りつけるとチェインが発生する。



全体的な感想

仲間の数が多すぎるのではないかとも思うが、移動中にも自由に話したりしているのは面倒でなくていいなと思った。ライトノベル的なノリにはたまに閉口してしまうけど。
ルリ島が中心部となって、他の街が登場しないのはちょっとさみしい。
ルリ島を離れている時間も長いので、ルリ島を楽しめる場面が限られてくる。
それに、町中でイベントが発生してもそこからどこかへ自動的に場所移動させられてしまうことも多いので、自分の足で歩いて冒険している感じがもっとあれば良かった。ストーリー運びとイベント周りの構成がもう少し練られていたらと思う。
ラストボスを倒したあとがうろうろできて長いなと思ったけど、エンディングロールを見終わったクリア後のお楽しみの存在だったらありだなと思った。
それでひと通りイベントをこなしたあと、どこかにゲートがあって、「この先は強くてニューゲームです」みたいな(笑)



戦闘は強制エンカウントに近い形で、回数も限られているので、自分はやりやすいと感じた。
地面にサモンサークルという赤いマークの場所でCボタンを押すとモンスターを呼び出せる。これはレベル上げの為のもので、ボス戦に勝てないときなどに利用するので、無駄な戦闘が少ない。
クリアしたミッションを再びできる場所があり、敵のレベルが上がっているが、ここでは敵を倒しても自分たちのレベルは上がらない。武器や防具の強化材料を集める目的になって、戦闘周りのシステムはほどよかった。


あとはリモコンのポインターが使えればいい。
ボウガンでの攻撃や、注目モードでの探索がやりにくいし酔うし面倒くさい。戦闘の途中でもポインターを当てれば敵の情報をポップアップで表示されると相手がどんな敵かわかってよい。
とにかく、わさわさして見分けが付きにくい。無双系の戦闘場面だってもちろんあってもいいわけだけど、一番始めに俯瞰で説明が入るならもう少し戦略的な戦闘でもいい。



ジャケット
ラストストーリー